裁判所、YouTubeユーザー数千人の情報開示を求める警察の要請を認める
Forbes誌のレポートで、米国の法執行機関が日常的に、特定のYouTube動画を誰が見たかという情報をGoogleに求めていることが判明した。
多くの裁判所命令を調査した結果、同誌は、米連邦政府がグーグルに対し、ユーザーの氏名、住所、電話番号、一定期間内の行動などの情報を共有するよう求めていることを明らかにした。
そのひとつに、ケンタッキー州の連邦捜査官がマネーロンダリング捜査の容疑者に送ったYouTubeのチュートリアル動画を閲覧したGoogleアカウントユーザーの個人情報を引き渡すよう求める令状の発行を、連邦捜査官が裁判所に求めたケースがある。
このチュートリアルは3万回以上視聴されたとされ、連邦政府が関心を示した期間は1月1日から1月8日までと、かなり広範囲に及んでいた。
しかも、捜査当局は、ログインした状態で動画を見た人の個人情報だけでなく、グーグルアカウントを持っていない人やログアウトした状態で動画を見た人のIPアドレスも求めた。
別のケースでは、ニューハンプシャー州の警察が、特定の地域で誰がYouTubeの生放送を視聴したかという情報をグーグルに求めるよう裁判所にお願いした。
警察は、匿名の爆破予告の通報を受けてから現場に到着すると、地元企業に関連するYouTubeライブ配信で監視されていることがわかった。
その後、警察は裁判所に対し、13万回以上の再生回数を記録した動画を含む、関連するライブ配信のリストを視聴したすべての人々のデータを、グーグルに要求するよう求めた。
どちらの要請も裁判所によって認められたが、Googleが結局情報を渡したかどうかは不明だ。
Forbes誌が引用した声明の中では、グーグルはこの件についてかなり不可解な言い方をしている。
Google社の広報担当者は、このような要求を許可する前に、グーグルは各要求を徹底的に調査し、「ユーザーデータに対する広範な、あるいはその他の不適切な要求」は、「日常的に」断っている(「いくつかの要求は完全に拒否していることも含む」)と主張した。
あなたが視聴するものは、あなたに対して悪用れる可能性がある
これらの要求が裁判所によって承認されたということは、警察の捜査のために潜在的に何千人もの人々の匿名性を解除することに対し、当局は何のためらいもないということになる。
つまり、クリプトマイニングに関するYouTube動画や、他のトピックの動画を見るだけで、知らず知らずのうちに自分自身が法執行機関による監視の対象になる可能性があるということだ。
これは大したことではなく、
結局のところ、法を犯さなければ、何も心配することはないだろう?
と主張する人もいる。
しかし、残念ながらこれはそんなにシンプルな話ではない。
実際、個人を特定できる情報にアクセスできる人が増えれば増えるほど、そのデータが誤って扱われたり、何らかの形で悪用されたりするリスクは大きくなる。
例えば、法執行機関には悪質な職員の例がたくさんある。
一例として、元米国警察のアンドリュー・ウィルソ刑事は、政府発行のデータ集計ツールを使ってサイバーストーカー行為をしていた。
そして、これは孤立した事例ではない。
AP通信の調査によると、2013年から2015年にかけて、300人以上の警官が[法執行機関の機密データベースを悪用している]ことが発覚し、解雇されたり、停職処分を受けたり、職を辞したりしている。
こうしたケースの中には、警官が元恋人や隣人、仕事仲間、ジャーナリストの情報を掘り出そうとするものもあった。
YouTubeの視聴履歴から、政治的意見、宗教的信条、社会的地位、さらには心の奥底にある秘密までもが明らかになってしまう可能性がある。
その情報がどの手に渡ってしまうかによって、恐喝やなりすまし、あらゆる詐欺に遭いやすくなる。
プライバシー擁護者たちはすでに、執行機関のこの慣行と、プライバシーに対する潜在的に悲惨な結果について警鐘を鳴らしている。
フォーブスの取材に応じた Surveillance Technology Oversight Project のアルバート・フォックス=カーンは、この慣行を「政府機関が捜査令状をますますデジタル捜査網に変えていきている不穏な傾向」の継続と呼んでいる。
「違憲であり、恐ろしいことであり、毎日起きていることだ」と彼は付け加えた。
デジタル捜査網に引っかからないようにして、個人情報を守る方法・対策
上記のレポートからわかるように、Googleアカウントからログアウトするだけでは、プライバシーを守ってGoogleによるオンライン活動の追跡を防ぐには不十分です。
[方法①] Google アカウントからログアウトしてVPNを使用する
あなたのオンライン上の足跡を真に隠し、Googleがあなたを特定し、法執行機関などの第三者とあなたの情報を共有する可能性をより減らすにするには、Googleアカウントからログアウトすること(アカウントを持っている場合)と、VPNを使用することの両方が必要です。
例えば AdGuard VPN などのVPNを使用することで、あなたのコンピュータとウェブサイトのサーバーの間に安全なトンネルを確立し、IPアドレスを効果的にマスキングします。
これによって作られる追加の保護層は、あなたのオンライン上の動きが追跡不可能になることを保証します。
[方法②] Tor ブラウザを使う
グーグルがあなたの行動を追跡するのを防ぐもうひとつの方法は、Torブラウザを使うことです。
「Tor」は The Onion Router の略で、無料でオープンソースのウェブブラウザであり、あなたのインターネット通信を世界中のボランティア運営サーバーのネットワークを経由させます。
このプロセスにより、あなたのデータは何度も暗号化され、グーグルを含む誰もがあなたのオンライン行動を追跡することが極めて困難になります。
しかし、Torを使うにはいくつかの欠点があります。
ひとつは、一部のウェブサイトを閲覧できなくなる可能性があること、もうひとつは、サイトの読み込みに時間がかかることです。